丹波立杭焼

語り継ぐ、窯ものがたり

4代目から5代目へ。父から息子へと受け継がれてゆく系譜。
EP 06.

4代目から5代目へ。父から息子へと受け継がれてゆく系譜。 4代目から5代目へ。父から息子へと受け継がれてゆく系譜。

同じ工房で仕事をするようになってから、すでに約20年の月日を重ねた俊彦と剛。性格は違うふたりですが、お互いのやり方を尊重しあいながら日々を過ごしています。

俊彦)

「私は昔からあんまり細かいことをよう考えへんけども、あっちは緻密に計算してやりよる。そこはすごいと思うわ。」

剛)

「僕の創作に対して、父が意見を言うことはまったくないです。民藝のものづくりをやれとか言われたこともないですし。父が生田師匠から受け継いだものに比べれば、僕が父から受け継いだものはだいぶ薄い。そう思っています。ただ、何かにつけて父の昔話はよく聞いてきたんでね。そういう父や釜屋のおじいちゃんの系譜が、自分のバックボーンにもあるのかもしれないと思うし、その受け継いだ何かが、ここでしか生まれ得ないものとして形になっていけばいいな、と思っています。

僕はね、丹波って焼きものの産地として日本一やと思っていますよ。だから、この丹波焼の豊かな歴史の延長線上に、これから僕がどう乗っかれるかなって思うんです。100年後に僕の名前が残っていなかったとしても、未来の人に“昔の丹波焼の人、面白いな”って思われる存在でありたい。それは個人作家として自分の表現を追い求める以上に、価値あることだと思ってますね。」

一貫して丹波に根を下ろしてものをつくり続けてきた父と、一度は外の世界に飛び出したのちに、丹波を再発見した息子。土と向き合い、火と向き合い、「ここでしか生まれ得ないもの」に挑み続ける心は、世代を超えて受け継がれていきます。

俊彦窯の作業風景。左から仁子(剛の妻)、剛、俊彦
来客の際は、剛が俊彦窯の歴史やものづくりについて語り継いでいる。
2024年夏取材(聞き手:QUILL 松本幸)