俊彦窯は、日本六古窯に数えられる丹波焼のふるさと・立杭の里山で、1977年に清水俊彦が創設した窯元です。現在は、俊彦と息子・剛の2人で作陶を行っています。
陶工としての私たちのルーツをたどれば、明治時代に作陶を始めた初代・清水松之丞にさかのぼります。やがて2代目宇吉から3代目力磨へと時代が移り変わる中、昭和初期には「民藝運動」によって丹波焼に光が当てられ、その名は広く全国に広まりました。しかし戦後になると、産地は衰退の一途をたどることになります。
そんな中で1964年、18歳だった4代目俊彦は、河井寛次郎氏の弟子にして、丹波で「生田窯」を開いていた生田和孝氏に師事。師のみならず、さまざまな民藝のつくり手たちとの交流を糧に、独立後も一貫して丹波焼の「用の美」継承に努めてきました。
そして5代目剛は、一度は故郷を離れ、京都の今井政之氏・眞正氏のもとで修行を積んだのち、丹波に戻って独立。「丹波焼とは何か」という本質を問い続けると同時に、その流れから生まれ得る、新たな表現の可能性を模索する日々を送っています。
父と子、アプローチは違えども、「丹波の土を使い、丹波の地でしかつくり得ないものをつくる」という思いは同じです。